『フジコ・ヘミング 』の時間★arakancoの見方
久し振りに映画館で映画を観た。
最近は観たい!と思える映画がないんだよね~宣伝にたくさんお金をかけてる大作には殆ど興味がなく、飛行機の中で観るくらいかな~
大体、面白くない 笑
これ映画というかドキュメンタリーだけどね。このフジコ・ヘミングという人を知ったのはいつだったかな?10年以上前だったと思うんだけど『徹子の部屋』で。
誰だか知らないけどテレビに出てこんなに無愛想な人って珍しいなというのが第一印象
なんというか、芸術家ぶってないというか。。。クラシックをやってる人って私は高尚なの的な空気感を纏っていて、興味が湧かなかったんだけど、この人は異色だなって感じた。
それから何年か経ってクラシック好きの知人がチケットを取ってくれて初めて生演奏を聴いた。クラシックのピアノソロを大きなホールで聴くのは初めてで、なかなかよい雰囲気だったけれど、彼女の"ラ ・カンパネラ"が他のピアニストとどこが違っていて人々の心を捉えるのかは正直言ってわからないというのが本音。それより、80歳を過ぎてこの大舞台で弾き続けられるモチベーション、ユニークなコスチューム、風体、そして聴衆に全く媚びていない"人間フジコ・ヘミング"に興味を持った。
★★★母への愛
20年程前、複雑なバッググラウンド、運命に翻弄される数奇な人生を追ったNHKのドキュメンタリー番組が放映され、彼女を一躍有名にした。その時フジコは既に60代を終えようとしていた。
このことを彼女は、映画の中で『神様が導いてくれた』と語っている。確かにそうかもしれないが、実際にピアニスト・フジコ・ヘミングを今に導いているのは彼女の"母"
ピアノ教師であり、自国に帰って戻らなかった夫の分も働き、その収入によって一家を支え二人の子供を育てた強い母だ。フジコの才能を誰よりも早く見出だし、信じ続け、ピアノ=人生と向き合うことを教えた厳しくも優しい母。
この作品の全編に流れているのは、彼女の母への感謝と愛情。。。母のことを語る彼女の表情や声は少女のように生き生きと輝く。
85歳の現在も毎日4時間以上の練習を欠かさず、世界中を巡り精力的に演奏し続けるのはきっと生前には叱られてばかりだったという母に天国で"フジコ、頑張ったね!"と褒めて貰いたいというたったひとつのことの為かもしれないと私は思った。
★★★旅と家
この作品を観たいと思った理由のひとつに彼女が巡るパリ、ベルリン、ニューヨーク、西海岸、ブエノスアイレスなどの風景がどのように切り取られているのか、パリ、サンタモニカ、ベルリン、京都の家の様子、しつらえ、暮らしぶりが見てみたかったというのがある。
パリは3回行ったけど、どうも好きになれなかった。理由は幾つかあるんだけど、それは別の機会に書くとしよう。フジコ・ヘミングとパリは実によくマッチしている。パリはけして明るい街じゃないし、優しくもない。それは悪い意味じゃなくて、やっぱり純粋な日本人にはない退廃的な何か.....エレメントみたいなものがあるからだと思う。
パリ以上にしっくりきたのがブエノスアイレスの夜の街角。あそこでくわえタバコなんかしちゃって似合う女はそうはいない。去年、強烈に行きたくなってあの街のことを色々調べたらかなり治安が悪いみたいで、二の足を踏んだARACANCOなんぞはまだまだ甘ちゃんです。
サンタモニカの家も素敵なんだけど、あのカラッと渇いた空気と青空は彼女とミスマッチ。まあ、でもとても寛ろげる雰囲気の家で私ならあんな感じがいいなと思った。
京都の町家を改築した典型的な和の家は意外にも彼女にしっくりくる。
とても良い。
『私は、自分の名前を後世に残したいとは全く思わないけど家が好きだから家は残したいわね』という言葉がまた潔く彼女らしい。
もし、いつか見学できるようになったらぜひ訪れてみたい。長生きしなくちゃ~
★★★装い
ファッションも個性的で、見ていて楽しめる。洋服というよりは布を纏っている感じ。殆ど自作というから凄い!舞台衣装は、アンティークのレースを多用していて美しい。頭のリボンや独特なアクセサリー使いも彼女にしか似合わないフジコワールドがある。いや、似合っているとかいないとかももうどうでも良いくらいの域に達している。ファッション、お洒落の究極は他の人にはない自分の世界観を持つことだと思うから。
衣装、描くイラスト、拘りのインテリア、選ぶファブリック、組合せ....
全てがフジコ・ヘミングという個性。
普段持ち歩いているバッグが、ステラ・マッカートニーのアイコンバッグだった。あれ、回りにぐるっとチェーンがついていてとても重いのにあのお歳で持てるってやっぱりパワーが違う!まだ50代なのにバッグは800gまでかななんていうARACANCOとは大違い 笑
★★★そして猫
フジコ・ヘミングと言えば猫
ARACANCOも猫が大好き
全編に猫が登場する。パリの愛猫ちょんちょんがたまらなく可愛くて悲しかった。
動物愛護のチャリティーにも積極的に取り組んでいる姿が映し出されていた。ツアーを終え久しぶりに会ったワンコがちぎれんばかりにしっぽをふって喜ぶ姿は微笑ましいが、やはり彼女の傍らには猫が似合う。
ARAKANCO の子供達、
るー(右)ともも(左) ホームレスじゃないのに何故か段ボールの上がお好き
★★★最後に
『死んで天国へ行って、いつも楽しいことばかりっていうのもつまらないわね。センチメンタルなのもいいじゃない』
私の想像とは裏腹にまた、お母さんに叱られたいのかな?
フジコさん。。。
今回は、映画の感想を書いてみたよ~ありかな こういうのも
したっけね~